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2012/09/22

iPhone5の「塗装が剥げた」は
根本的にユーザの誤使用だと思う。

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昨日発売開始となったiPhone5ですが、早速、Twitterのタイムラインに苦情が上がっているようです。

ただし、「ガラスが割れた」、「塗装が剥げた」というツィートは、そもそもの使い方が間違ったものだと、私は思います。しかも、塗装、塗装と言葉が勝手に一人歩きしてますが、あれは塗装じゃなくて陽極酸化処理(アルマイト処理)だから、知識不足すぎる。Appleのホームページをよく読んだ方がいい。

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140文字のツィートでは表現しきれない“正確な状況”が描かれていないため、受け取り方に誤解が生じてしまいます。ツィートする人は「“どこから”“どこに”落として壊れたのか?」などの状況をはっきりさせて欲しいものです。「何もしてないのにiPhone5のガラスが割れた、傷ついた」のなら大きな問題ですが、これまでのツィートを見ていると、ほとんどは「落として割れた」「落として傷ついた」というものが多い。例え落としてなくても、傷の状況からして硬い金属への接触が原因と思われるものが多い。木の床に落とすのと、コンクリートや鉄板の上に落とすのでは結果が全く違ってくるので、情報発信者は状況を明確にして欲しい。受信側はツィートを鵜呑みにせず、正確な状況の把握に努めて下さい。

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そもそも、Apple製品は、さまざまな要素の「メリット」と「デメリット」が際どいところで共存しています。その分、他社が真似できないデザインであったり機能を実現しているといえます。批判を恐れず書きますが、予てからのAppleユーザの私としては、Apple製品特有の“Excuse”を受け入れられないのであれば、ガラケーかAndroidを選んだ方が良いと思っています。

それに、iPhone5のデザインは「ブラック/スレート」が意味するように、真っ平らな“石板”がモチーフ。けど、iPhone5は石でできてるわけじゃない。金属とプラスチックとガラスでできてます。石とは異なるテクスチャを吟味し素材の味を最大限に引き出す・・・デザイナーの手腕とエンジニアの執念によって、自由度のない厚みの中に基板類が納まる最大限の容積を確保しつつ、“陰影がない中に陰影を表現した美しいデザイン”を実現したのです。ある意味、“禅”の世界に通じる「無駄を省いた究極の美」を表現していると、私は思っています。

とはいえ、Appleがメーカとして大量のユーザに製品を売っている以上、「落としたら壊れます!」「iPhone5のデザインにはExcuseがあります」「それを理解した上で買って下さい」と仕様に書かない限り、メーカが負う宿命でもあります。ユーザは知らん顔して自らの非をメーカに投げてくることも多いので、こう言った苦情が上がるのもいたしかたないことかもしれません・・・。それよりも、分析力のない一部の不躾なユーザーによる事実無根の不確かな情報が行き交うことの方が大きな問題です。

前置きが長くなってしまいましたが、今回は、状況を俯瞰して、iPhone5のアルミ筐体、ガラスパネルについて、素材の特徴を踏まえて掘り下げてみたいと思います。

根本的に、金属製の筐体に「落としても傷つかない」表面処理を求めるなら、自動車のように分厚く、エッジがダルな分厚い塗装が必要になるでしょう。小さな筐体に、自動車並みの分厚い塗装をしたら、なおのこと塗膜の歪みは目立ち、柚肌も目立つでしょう。そのデメリットをAppleユーザが認めるか?と問うたら、多分、違うでしょうし、Appleもユーザ心理を理解しています。

たぶんAppleはそれを認識した上で、あえて塗装処理を避け、「陽極酸化処理(アルマイト処理)」を選択しました。これは、金属特有のエッジや輝きを活かし、シンプルでありながら光の陰影によるコントラストが織りなす造形美を追求した結果でしょう。

このアルマイト処理というのは、iPhone5のボディをプラス電極にして強酸の電解槽に浸け、電流を流してアルミニウムの表面を溶かして酸化させ、耐腐食性と耐摩耗性の高い薄い皮膜を形成する処理方法です。この皮膜は硬度が高く、細かな傷がつきにくい特徴を持つとともに、アルミ素地と結合しているため剥がれにくい特徴を持っています。また、着色は多孔状の酸化皮膜に染料を染みこませているため、簡単に剥離しません。
この処理は、ヤカンに始まりデジカメの筐体などなど、非常に身近な製品に用いられています。

しかし、この皮膜の厚さはせいぜい「数十μm」しかありません。私が仕事で使う時は20〜30μm=0.02mm〜0.03mmが多いです。しかし、硬度が高いため、埃などに含まれる硬質微粒子による擦り傷には抗力があります。が、鉄やガラスなど、アルミより硬い物質との衝突でできた素地を彫り込むような深い傷には無力です。これは単純な話で、「柔らかいものより硬いものの方が強い」という自然の摂理により、仕方のないことなのです。極端な話、包丁で野菜が切れるのは野菜が鉄より弱いからですし・・・。

金属同士でも固さの違いは大いにあり、アルミニウム(合金)は金属の中でも柔らかい金属です。例えば、1円玉(アルミニウム合金)の角で100円玉に傷をつけようとしても、傷をつけようとした100円玉は無傷で、1円玉の角が削れていくでしょう。これは、金属の力関係的には「1円玉<100円玉」なので1円玉が負けてしまったわけです。

このような前置きを理解しつつ、iPhone5を硬いアスファルトやコンクリートに落とした場面を思い浮かべてみて下さい。アスファルトの中には硬い石が含まれているので、石によってアルミが彫り込まれ、それとともにアルマイト皮膜も剥がれてしまいます。これは「アルマイトが剥がれた」というより「アルミが削れてどこかに行ってしまった」と考えるのが正しいです。

ブラック/スレートのiPhone5の場合、アルマイトが黒色なのに対してアルミ素地が銀色なので、アルマイトがなくなれば次に見えるのはアルミの「銀色」です。なので、傷は目立ちます。もし、素地がアルミではなく黒いプラスチックであれば傷は目立ちませんが、プラスチックはアルミよりも柔らかいので、日常の細かな擦り傷への抗力は弱くなり、カバー無しで使った場合数週間で傷だらけになるでしょう。それを嫌って、多くのAndroid端末はプラスチックに塗装を施す方法を選んでいますが、携帯電話レベルのプラスチック成形品は歪みが多いうえに、iPhone5なみの鋭いエッジを成型するのは技術的に難しいでしょう。

iPhone5の「マットと鏡面が織りなす陰影」に富んだハイコントラストなデザインと、そこそこの耐摩耗性と耐食性を高い次元で両立するのは不可能だったでしょう。


Twitter上に流れていた下の画像は、エッジ部分にアルマイトの剥がれ認められます。

Iphone5_scratch
個人的な経験から言うと、ポケット中コインが入っているのを忘れて、iPod nanoを同じポケットに入れてしまった時、次に取り出したときには、時すでに遅し。iPod nanoのエッジには傷が入っていました。これはiPod nanoに限った話ではありませんね。プラスチック製のガラケーであっても傷はつくでしょう。目立つかどうかの問題です。ストラップに少しでも金属部品が使われているものをつけているのだとすれば、自らすすんで傷つけやすい環境に晒しているようなもんです。その携帯は数日で傷だらけだと思われます。また、ジーンズのハトメ?やZipperに擦れたときなども、傷がつく原因です。日常生活には落下以外にも傷がつく危険はたくさん転がっているのです

よく「iPhone3G/3GSはプラスチック筐体で、ガラス製のiPhone4/4Sより耐久性があってよかった」と言われます。これは、ある意味事実ですが、iPhone4/4Sのデザインを考えると、プラスチックでは実現できなかったと思われます。

iPhone3/3Gはプラスチック(万年筆のMONTBLANCで使われている特殊なもの)なので壊れにくいのは確かでしょう。これは、プラスチックが変形することで衝撃を分散吸収し、大まかな形状は元に戻るからです。これに対してガラスは硬さゆえに脆い特徴を持っているので、落とすと割れる欠点があります。しかし、プラスチックでは真似できない平滑性と光沢を持ちあわせていますし、何より硬度が高いのでプラスチックより耐摩耗性に優れています。

Apple製品にはガラスが多用されていますが、Appleがこうなるまでにはそれなりの経緯があります。

2006年に登場した「iPod nano」はフロントパネルにプラスチックを、筐体に電解研磨ステンレスをまとって世に登場し衝撃を与えました。しかし、プラスチックは擦り傷がつきやすくディスプレイが見にくくなる欠点を抱えていました。その後、ユーザ団体からAppleは訴訟を起こされ敗訴に至り、大量リコールを被りました。その後、2007年に登場した初代iPhoneを皮切りに、Apple製品には耐摩耗性にすぐれるガラスを多用するに至ります。そしてiPhone4/4Sではバックパネルまでガラス化し、唯一無二のデザイン性とさわり心地の高さから好評を得る反面、ガラスを採用したらしたで、割れやすいという新たな欠点を負いました。その教訓から、iPhone5でAppleがとった手段は、筐体をアルミニウムにする設計でした。これはiPod nanoやShuffle、iPadで実績を積んだ手法なので、手堅い方法だったと考えられます。他方、iPod touch 5thでは、iPod touch 4thまで採用していた傷に弱い電解研磨ステンレスボディーも廃止し、アルミ+アルマイトボディを採用しています。傷への対応を推し進めた結果でしょう。現在のAppleラインナップの中で電解研磨ステンレスボディを使っているのはiPod classicのみです。電解研磨ステンレスボディは初代iPodから続くアイデンティティで、Apple再生に導いた象徴でもあります。それを廃止しアルミボディに比重を移すからには、それなりの覚悟があったはずです。

しかし、iPhone5で採用したアルミ+アルマイトボディには未知数の要素も含まれているのも事実です。iPadの筐体は全面がマットな梨地アルマイト、iPod nanoは全面が光沢アルマイトでしたが、iPhone5の筐体は梨地アルマイトと光沢アルマイトが共存しているのです。ここからは想像ですが、マット部分と光沢部分では素地の状態が異なるため、同じアルマイト処理であっても耐久度に差が生じている可能性があるのです。もしかすると、この差が、今回、ツィートで取りざたされている剥離問題の原因となっている可能性もありますが、個人的にはそれは違うかなとふんでいます。

また、Appleがアルミに拘るのはデザイン的なこと以外に、リサイクル性を重視しているところが大きいでしょう。普通のマスプロダクションメーカーなら、1枚のアルミ板から筐体を削り出す設計は非効率的で高価な製品となるため、絶対に許されません。しかし、Appleからすれば、それは他社が真似できない=他社を引き離し、ライバルをリードすることに繋がります。

まとまりがなくなってしまいましたが、以上のようなAppleの状況を踏まえつつ、それを受けること、未然に欠点を補うこと(カバーをつけるなど )をできないのであれば、Apple製品を使う資格がないのかなと個人的には思います。


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